大正7年創業、黒田吉五郎商店。
山形県天童市を中心に、
青果物の卸業・加工業を行っている企業である。
天童温泉の旅館街に位置しているため、地元の旅館や飲食店を主な取り引き先として
近隣で活躍するお客様のもとへ毎朝直接新鮮な野菜や果物をお届けしている企業。
旅館街とともに成長しつづけ、そしてこれからも天童の発展のため貢献することを願い、今日も従業員一同、元気に配達に励んでいる。
そんな黒田吉五郎商店を牽引する社長であり野菜ソムリエでもある黒田達郎さんに、黒田吉五郎商店の魅力について迫ってみた。
1974年(昭和49年)12月16日生まれ。天童市出身。
東京の大学を卒業後、東京でサラリーマン生活を数年送った後、故郷である山形県天童市に戻る。
2005年4月に黒田吉五郎商店に入社。以降、父である会長とともに、5代目を継ぐ者として日々業務に勤しんでいる。
趣味は、週1回のバスケットボールと70年~90年代の洋楽を聞くこと。それがきっかけで取引先のお客様と意気投合したこともあるとか。
最近は近所のオートサイトや河原でキャンプにも行くとのこと。ソロでもグループでもやっているらしくキャンパーとしても精力的に活動している。
それを聞くと、やはり気になるのは野菜ソムリエのキャンプめし。
好奇心から伺ってみると、ホットサンドや季節の野菜(取材の時期はきのこが美味とか)を使ったパスタなどを教えていただいた。オーソドックスな印象があるが、黒田さんのレシピはさすがに奥深い。
今度ぜひ、キャンプめし特集で記事を作りましょう。
旅館さんや飲食店さんが主な取引先になります。
取引先はほぼ天童市内ですが、たまに郊外の方もいらっしゃいます。正直厳しかったんですけど「どうしても」とお願いされて引き受けました。細い山道を使って、頑張って配達に行っています。
配達の時間帯は、ほとんどは午前中です。ただ、午後に行くこともありますよ。お客様のご希望に合わせて可能な限り動きます。
飲食店さんは、2014年にイオンモール天童ができて以来、中に入ってる複数の店舗から依頼されて更に増えました。
あとは、今まで取引のなかったとこでいえばコンビニにも卸すようになりましたね。
親戚がオーナーをしている関係で何店舗かに卸しています。
コンビニにちょっとした果物や野菜があると、ご年配の方などが気軽に買うことができるので需要がありますね。
他に新しいところだと、ふるさと納税の需要も高まっています。天童市のふるさと納税の果物は、いくつかうちから送っているんですよ。
すべて天童市でつくられたおいしいフルーツばかりです。
いえ、うちは担当制ではありません。
朝の業務開始時だけ、誰がどこに届けに行くかは決めますが、それ以降は早く帰って来た人が順次回るようにしています。「○○は担当じゃないから」となることで配達が遅れてしまわないよう、担当は決めていません。
少ない人数で効率よく回るために、手が空いた人から、どんどん配達に行くようにしています。配達が終わった人から、加工に回ります。
うちで売り出している野菜・果物を切ったり、ちょっとした作業を請け負っています。
例えば「ネギをみじん切りにしてから卸してくれ」「大根をスライスしてくれ」…あと「かぶをおろしてほしい」というご要望にもお応えしています。
スライスやみじん切りにする機械もありますので、均一の質を保った加工が自慢です。
そうですね。たくさんの方にご利用いただいています。
取り引き先は、旅館さんの割合が高いですね。旅館の板前さんは寝る間もないほど忙しいですから、その忙しさを少しでも緩和したいという気持ちから行っています。
大きな規模の旅館さんだけでなく、個人経営の飲食店さんまで、様々な規模の方に利用していただいていますよ。
ちなみに、機械が導入される前から手作業で行っているサービスです。
そうですね~……主に機械での加工なので、あんまり精密なものはできませんが。
ただ意外な加工もできたりするので、まずはご相談ください。出来る限りご要望に応えられるよう頑張りますので!
立谷川にある山形市公設地方卸売市場で仕入れます。一日4、5回は通いますかね。
お客様に配達に行ったときに「今日、ちょっと変わった野菜が欲しいのだけど、ある?」と急に聞かれることもあります(笑)。
急な依頼でも、出来る限り探しに行きますよ。市場にあれば仕入れてくるし、明日以降に必要だったら予約します。
具体的には、芽甘草(めかんぞう)や紫さつまいもなどをこれまで仕入れたことがあります。
お客様から「こんな野菜がほしいのだけど…」と相談されたときに仕入れられるかどうかが、腕の見せどころです。
お客様が求めるものの、1㎜でも上を行く商品を提供出来たらいいですね。
うちは大体、A品を選びます。A品とは、端的に言うと味だけでなく見た目もきれいなものです。きゅうりなら、曲がっていなくてまっすぐである、などですね。
旅館さんのお料理は、目で楽しめることも大事な要素ですから、青果物の見た目のよさにもこだわっていらっしゃいます。
もちろん、「みじん切りにして使うからA品でなくてもよい」というご要望であれば、そのご要望どおりのものを仕入れますよ。
卸市場の人とも長い付き合いですので「葉物はこの人から」「じゃがいもはこの人から」と決まっているため、お願いもしやすいです。
はい。ですが、配達の前に各従業員がお届けする野菜や果物のチェックを行います。傷んではないか、葉は青々としているか、などを確認します。また、お客様ごとにちょっとした好みがあるんですね。例えば「大葉は小さい方がいい/大きい方がいい」とか。
そういった情報は従業員同士で共有して、それぞれのお客様にお好みのものをお届けできるようにしていますが「ちょっとイメージと違うなぁ」という声があれば、すぐに違うものを持っていきます。
ええ、ジュニア野菜ソムリエの資格をとりました。とったのは2006年です。
父親である会長(当時社長)が資料を取り寄せていて、親父がとるのかなあと思っていたら、「お前がとれ」と言われて(笑)。
健康志向が強い今の時代だからこそ、いろいろなことを勉強する必要があるという意図だったようです。
当時、次期社長の僕に資格をとらせることで、世代交代も見据えていたのだと思います。
ソムリエ仲間といいますか、今まで知り合えなかった方と知り合いになれて、人脈が広がりました。
野菜について情報共有することで知識の幅が広がり、より野菜や果物について詳しくなれたと思います。
ソムリエ同士の情報ネットワークを広げて、もっともっと知識を広げて行きたいですね。
ウチは創業も古い店なので、父親たちが代々築いてきてくれた長年の人脈と、僕が築く新しい人脈を活かしていけるのが、うちの持ち味だと思います。
最近の話ですけど、スタッフの入れ替わりがありました。今まで屋台骨として会社を支えてくれてたスタッフたちが、定年や実家を継ぐため退職していって…それで、新しいスタッフを2名迎え入れることになりました。
新人を育てていくなかで、自分が飲食店で働いてた時にチーフから言われたこと思い出しまして。「ゆっくりでいいから丁寧にやれ」って。それで、新人に「仕事はなかなか一度じゃ覚えられないから、わかるまで聞いていいんだよ」と伝え、わからないまま仕事をすることがないように、忙しくても何でも質問しやすい職場の環境を整えることを考えましたね。
事務や古参のスタッフが、話しやすい「いい雰囲気」をつくってくれています。スタッフ同士が質を高めあって、コミュニケーションを深めることで情報のやりとりがうまくいくようになるので、トラブルも大幅に少なくすることができました。
結果として、お客様へのサービス向上に繋げられたのではないかと思ってます。
新人が入り新しい風が吹いたことによって「誠実、丁寧な仕事」という、当たり前だけど大切なことを今一度考えるきっかけになったかもしれませんね。
今後もスタッフ一丸となって、丁寧な仕事を心掛けながら、いい商品を皆様にお届けしていけるよう尽力していきます。
卸業者に青果物の卸しを頼むお客様が一番大事にしていることは「安定供給してくれるか」だと思います。
お客様のほしいものを、ほしい量だけ確実にお届けすることを大切にしています。
期限・品質はもちろん守ります。
また、お客様から「こういうものがほしい」とご相談を受ける機会も多いですので、お客様が求めていることの1mmでも上をいけるような提案ができたらいいなと思います。